「医師事務作業補助体制加算」、2022年改定でも引き上げ
2022年度診療報酬改定では、4つの「基本的視点」の1つに、「安心・安全で質の高い医療の実現のための医師等の働き方改革等の推進」が掲げられ、重点課題になっています。「どこまで働き方改革への対応が進んでいるか」は、先生方にとっては「働きやすい環境か」に直結します。
働き方改革を推進するための具体的方向性のひとつにあげられるのが、「専門性を十分に発揮するための勤務環境の改善」「タスク・シフティング」。これらの実現のために助けとなる存在が医師事務作業補助者(メディカルクラーク)であり、今回の改定では、「医師事務作業補助体制加算」の評価がまた上がっています。
事務作業が、診療時間の2割を占めている
一人ひとりの医師の業務負担を減らすには医師を増やすことが一番ですが、そう簡単ではありません。そこで考えられるのが、医師ではなくてもできることはタスクシフトして、医師が医師でなければできない仕事に専念できるような環境をつくること。
2017~2018年に行われた「病院勤務医の勤務実態調査(タイムスタディ調査)」では、「診療時間のうちの事務作業の時間が、当直ありの場合は4時間、当直なしの場合は2時間程度であり、いずれも、診療時間の21%程度をしめる」と報告されています。
つまり、タスクシフトできる事務作業が、実は2割を占めているということです。
その事務作業を助けてくれるのが、医師事務作業補助者(メディカルクラーク)です。
医師事務作業補助者ができること、できないこと
念のためにおさらいしておくと、医師事務作業補助者の業務は、医師(歯科医師も含む)の指示のもとに行う、次のような対応に限定されています。
診断書等の文書作成補助/診療記録への代行入力/医療の質の向上に資する事務作業(診療に関するデータ整理、院内がん登録等の統計・調査、教育や研修、カンファレンスのための準備作業など)/入院時の案内などの病棟における患者対応業務/行政上の業務(救急医療情報システムへの入力、感染症サーベイランス事業にかかる入力など)
一方、医師以外の職種の指示のもとに行う業務や、診療報酬の請求事務(DPCのコーディングに係る業務も)、窓口・受付業務、医療機関の経営・運営のためのデータ収集業務、看護業務の補助、物品運搬業務などについては、医師事務作業補助者の業務とはなりません。
「医師事務作業補助体制加算」は今回も点数アップ
医師事務作業補助者の配置を評価したのが「医師事務作業補助体制加算」ですが、この点数は、2008年度の診療報酬改定で新設されて以来、ほぼ改定のたびに引き上げられています。
今回の2022年度改定でも、「15対1」「20対1」「25対1」「30対1」「40対1」「50対1」「75対1」「100対1」のそれぞれの点数が上がりました。
加算1の条件に、3年以上の経験年数をもつ補助者が5割
また、今回の改定で大きく変更されたのが、「加算1」の条件です。
「当該保険医療機関における3年以上の医師事務作業補助者としての勤務経験を有する医師事務作業補助者が、それぞれの配置区分ごとに5割以上配置されていること」という条件が課されました。
これは、経験のある医師事務作業補助者のほうが、医師の業務負担軽減への貢献度が高いというデータが中医協で示されたためです。
ここで注意が必要なのは、「当該保険医療機関における3年以上の」となっているので、そこの病院で3年以上働いている医師事務作業補助者が5割以上いることが求められます。たとえ経験豊富な人でも、転職したばかりの人はカウントできません。
働きやすさの一つの指標に
医師事務作業補助者を何人配置し、どの「医師事務作業補助体制加算」を算定しているかは、先生方にとって働きやすさの指標の一つになります。
一方で、病院側にとっては、医師事務作業補助者の充実を図ることが、医師の働き方改革にどこまで取り組んでいるのかというアピールにもなるのではないでしょうか。
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