公立・公的病院の3割が再編統合再検証の対象に

9月26日に行われた厚生労働省の「地域医療構想に関するワーキンググループ」で、公立病院、公的病院のうち、「再編統合について特に議論が必要」な全国424病院のリストが公表されました。

◎厚労省 第24回地域医療構想に関するワーキンググループ
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_06944.html

A:「研修・派遣」「へき地」「災害」「周産期」「小児」「救急」「脳卒中」「心血管疾患」「がん」という9つの領域ですべて診療実績が特に少ない
B:「周産期」「小児」「救急」「脳卒中」「心臓」「がん」という6つの領域で診療実績が類似している、または近接する医療機関がある

この「A」または「B」に該当する医療機関が「再検証要請対象」とされました。

3割の公立・公的病院が再検証対象に

今回分析の対象となったのは、高度急性期や急性期の病床をもつ公立病院、公的病院と民間の地域医療支援病院の1,455病院です(人口100万人以上の区域除く)。
このうち424病院が「再検証要請対象」とされたということは、約3割の病院が、病院としての役割や病床数の見直しが必要と判断され、他の病院との連携や集約化も含めた再編統合を検討してもらうよう指摘された、ということです。

なお、前述の9つの領域すべてで診療実績が特に少ない病院(「A」に該当)が277病院、それ以外で、前述の6つの領域で診療実績が類似していて近接する医療機関がある病院(「B」に該当)が147病院でした。

2020年9月までに対応策を

今回、「再検証要請対象医療機関」として丸がつけられた病院が、必ずしも再編統合が必要というわけではありません。
今回の実名公表は、あくまでも「全国の地域医療構想調整会議の機能を活性化させるためのもの」であり、決して最終結論ではない、「再検証の要請対象病院とされた病院以外にも調整会議の議論において再編・統合、ダウンサイジングが要請される公立・公的医療機関があり得る」ことが、ワーキンググループの会議のなかでも確認されています。

ただ、病院名の公表というインパクトは強く、新聞をはじめさまざまなメディアで取り上げられました。そして、そうした報道によると、リストに名前が挙がった病院にかかっている住民から不安や戸惑いの声があがっているそうです。

たしかに、再編統合の検証が必要と言われれば、病院関係者だけではなく、地域の人たちも驚くとともに、「この先、大丈夫かな」と不安に思うでしょう。
厚生労働省は、今回「再検証要請対象」となった病院に対して、2020年9月までに、地域における役割や2025年に持つべき医療機能別の病床数などを検討し、対応策を決めることを求めています。
これを機に地域の人たちも一緒に「自分たちの地域の医療機関をどうするのか」話し合う機運が高まればいいなと思います。

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