新型コロナへの都道府県の対応をランキング化
新型コロナウイルスへの対応は、地方自治体に任されています。
そのため、対策と効果、健康や経済への影響は地域によって大きく異なります。
47都道府県の新型コロナウイルスへの対応状況はどう違うのか――、慶應義塾大学商学部の濱岡豊教授は、10の指標をもとに評価し、ランキング化しました。
10の指標をもとにランキング
ランキングでは、「健康影響」「対策」「市民の協力」「経済影響」という4つの観点から選んだ10の指標をもとに比較が行われました。
具体的な指標は、次の10項目です。
「健康影響」……人口あたり累積検査陽性者/累積陽性者致死率/累積陽性率
「対策」……累積陽性者あたり累積検査人数/人口あたり受入確保病床数(週次)/自宅療養率(週次)
「市民の協力」……人流(乗換駅)/人流(居住地区)
「経済影響」……客室稼働率・前年比(月次)/消費支出金額・前年比(月次)
コロナ対応、もっとも評価が高かったのは鳥取県
この研究では、3月21日までのデータを用いて、10の指標についてそれぞれ偏差値化し、総合評価点を出しました。そして、総合評価点が高い順にランキング化し、10の指標をレーダーチャートで示し、それぞれの都道府県の特徴を比較しています。
気になる結果はというと、総合評価点がもっとも高かったのは鳥取県でした。
「累積陽性者あたり累積検査人数」と「人口あたり受入確保病床数」という「対策」関連の2項目の評価が突出して高く、そのほかも、「人流(乗換駅)」以外、全般的に良好な結果でした。
2番目に総合評価点が高かったのは、島根県です。これまでの死亡者数がゼロで、「累積陽性者致死率」が最良でした。
3番目以降は、佐賀県、大分県、富山県でした。
ワーストは、大阪府
総合評価点がもっとも低かったのは、大阪府です。大阪府の場合、いずれの指標も低く、濱岡教授は「全体的に対策を立て直す必要があります」と指摘しています。
大阪府に次いで2番目に低かったのは東京都で、「市民の協力」関連の2項目は比較的評価が高かったものの、「市民の自粛と比べて都が行うべきことを行っていないことによって健康や経済への影響が大きくなっている」ことが要因とのこと。
ワーストの5都府県は、大阪府、東京都、京都府、愛知県、神奈川県でした。
ベストの鳥取とワーストの大阪で大きく違うところ
さらに、この研究では、最上位の鳥取県と最下位の大阪府について、指標の傾向の比較も行われました。
鳥取県では、「陽性者数が少ない段階から多くの検査を行っており、第三波以降は陽性者数が減っても検査を継続することによって感染者を早期発見し、隔離もしくは療養してもらうことにより、陽性率も全般的に低く押さえられ」「客室稼働率も第一波以降急速に回復」している一方、ワーストの大阪府では、「全般的に検査不足」であり、「対策の失敗が経済に対しても深刻な影響を与えています」と指摘しています。
◎参照
慶應義塾大学 プレスリリース
「新型コロナウイルスへの都道府県の対応を評価しランキング化」
https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/files/2021/4/26/210426-1.pdf
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