パワハラ、セクハラ、事故や災害……精神障害の労災認定は過去最高に
全業界で働き方改革が進むなか、産業医の重要性が増しています。近年、とくに需要が高まっているのが、メンタルヘルスに精通している産業医の存在です。
働くなかでのハラスメントや人間関係、過重労働などが原因でメンタルヘルス不調に陥る人は増えており、精神障害の労災認定も年々顕著に増えています。
労災請求件数は過去最多
厚生労働省が6月28日に公表した「令和5年度 過労死等の労災補償状況」によると、2023年度の過労死等に関する請求件数は、過去最多の4,598件でした。前年度に比べて1,123件の増加です。
そのうち、労災と認定されて支給が決定された数も、前年度より195件多い1,099件で、過去最多でした。
増えるメンタル不調
「過労死等」に含まれるのは、過重労働や業務上の過度なストレスを原因とした脳血管疾患・心臓疾患と精神障害、そしてそれらを原因とした死亡です。
なかでも顕著に増えているのが、精神障害です。精神障害に関する請求件数は3,575件(うち自殺が212件)で、そのうち883件(同79件)が労災認定され、いずれも過去最多でした。
※厚生労働省「令和5年度 過労死等の労災補償状況」より
支給決定件数(労災と認定されたもの)を年代別に見ると、40代が27.1%でいちばん多く、20代(23.3%)、30代(23.0%)と続きます。
精神障害の原因となった出来事はさまざまで、労災認定されたもので多かったのは次のような出来事でした。
・上司等から身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた(157件)
・業務に関連し、悲惨な事故や災害の体験、目撃をした(111件)
・セクシュアルハラスメントを受けた(103件)
・仕事内容、仕事量の大きな変化を生じさせる出来事があった(100件) など
働く高齢者の増加で脳・心疾患リスクも
一方、脳血管疾患・心臓疾患に関する労災の請求件数は1,023件で、これも過去最多です(前年度比220件増)。そのうち、支給決定件数は216件でした。
脳血管疾患・心臓疾患の労災認定で特徴的なのは、年代が高い方が多いことです。支払決定件数を年代別に見ると、50代が最も多くて44.4%、次いで60歳以上25.0%、40代24.5%の順で、9割以上を40代以上が占めています。
脳血管疾患や心臓疾患のリスクは、年齢が高まるほどに上がります。働く高齢者が増え
ていることが、労災の増加に影響しているのではないかと指摘されています。
50人以上の事業所には産業医が必須です
常時50人以上の労働者を使用する事業所では、産業医の選任が義務づけられています。さらに1,000人以上の労働者を使用する事業所、リスクの高い業務に500人以上の労働者を従事させる事業所では、専属の産業医を選任しなければなりません。
今、全国の事業所のうち、過去1年間にメンタルヘルス不調による1か月以上の休職・退職した労働者を経験した事業所の割合は1割を超えています(厚労省「令和5年 労働安全衛生調査」より)。メンタル不調による休職や退職は企業にとって身近な問題となっており、働き手不足が蔓延するなか、メンタルヘルス対策は避けては通れない課題です。
また、高齢の労働者が増えるなか、加齢とともに高まる疾病リスクにも対応し、企業としての安全配慮義務を果たすため、社員の健康管理をしっかり行っていかなければなりません。
メディカルクレアでは、全国2,000名以上の登録医師のなかから、それぞれの企業が抱えている課題に合った産業医をご紹介いたします。まずはお気軽にご相談ください。
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◎参照
厚生労働省「令和5年度『過労死等の労災補償状況』を公表します」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_40975.html
厚生労働省「令和5年 労働安全衛生調査(実態調査)結果の概要」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/r05-46-50b.html
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