リフィル処方、対応していますか?

  前回2022年度の診療報酬改定で導入された「リフィル処方箋」は、2024年度改定では地域包括診療加算、地域包括診療料、生活習慣病管理料の施設基準に入ってきました。
  リフィル処方箋は、働き方改革や逆紹介を進めたい病院の外来を中心に取り入れられている印象がありますが、国としてはクリニックも含めてもっと活用を広げたいのだと思います。リフィル処方の現状と、今回改定で求められるようになったこといついて解説します。

リフィル処方箋とは

 リフィルは、詰め替えを意味する言葉です。つまり、リフィル処方箋は、一定期間、繰り返し使える処方箋のこと。
 症状が安定している患者さんに対して、医師の処方により、医師と薬剤師の適切な連携のもと、一定期間内に処方箋を反復利用できる仕組みがリフィル処方です。具体的には、医師が「リフィル処方が可能」と判断したときに、処方箋の「リフィル可」の欄にレ点を記入すると、リフィル処方箋となります。リフィル処方箋の使用上限は3回で、1回あたりの投薬期間は処方医が患者さんの状態などをふまえて判断します。

リフィル処方は進んでいるのか?

 全国の病院、クリニックはリフィル処方に対応しているのでしょうか?
 2023年11月10日の中医協・診療報酬改定結果検証部会で厚労省から提出された資料によると、2023年3月時点で、全処方箋に占めるリフィル処方箋の割合は0.05%でした。病院・クリニック別に見ると、病院では0.11%、クリニックでは0.03%です。

 リフィル処方が導入された2022年の5月、11月、翌3月の数字を比較すると、少しずつ伸びているとはいえ、なかなかリフィル処方が広がらない状況がうかがえます。

地域包括診療料、生活習慣病管理料の施設基準に

 2024年度の診療報酬改定では、リフィル処方に対応することと、そのことを患者さんに周知することが、地域包括診療加算、地域包括診療料、生活習慣病管理料(Ⅰ)、生活習慣病管理料(Ⅱ)の要件の一つに盛り込まれました。
 具体的には、「患者の状態に応じ、28 日以上の長期の投薬を行うこと又はリフィル処方箋を交付することについて、当該対応が可能であること」を、院内の見やすい場所に掲示することが施設基準の一つになっています。
 3月28日付で公開された「疑義解釈その1」では、具体的な掲示内容について、患者の状態に応じて「28 日以上の長期の投薬が可能であること」「リフィル処方箋を交付すること」の両方とも対応可能であることを掲示するよう求められました。そして、下記の「ポスターを活用しても差し支えない」と掲示用のポスターも紹介されました。
https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001236954.pdf

国はリフィル処方を進めたい

 先述の2023年11月10日の中医協・診療報酬改定結果検証部会の資料で、医師がリフィル処方箋を発行しなかった理由でいちばん多かったのが「患者からの求めがないから」でした。今回の診療報酬改定で、リフィル処方箋についての院内掲示が進めば、それを見た患者さんから希望されるケースが増えることが予測されます。
 また、骨太の方針2024では「リフィル処方について、活用推進に向けて、阻害要因を精査し、保険者からの個別周知等による認知度向上を始め機運醸成に取り組む。」の一文が盛り込まれ、2024年度からの第四期医療費適正化計画でも「リフィル処方箋については、保険者、都道府県、医師、薬剤師などの必要な取組を検討し、実施することにより活用を進める必要がある。」と言及されました。
 こうしたことからも、リフィル処方をより一層進めていきたいという国の本気度がうかがえます。

◎参照
厚労省 中央社会保険医療協議会 診療報酬改定結果検証部会(第69回)議事次第
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000207397_00015.html?_ga=2.15909822.902914393.1722126201-826416937.1722126201

厚労省 疑義解釈資料の送付について(その1)
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001237675.pdf
内閣府 経済財政運営と改革の基本方針2024
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/honebuto/2024/decision0621.html

厚労省 第四期医療費適正化計画(2024~2029年度)について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000190705_00001.html

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