医師の働き方改革の裏で“隠れ宿日直”を訴える声も

10月27日に開かれた社会保障審議会医療保険部会で、2024年度診療報酬改定に向けて、次の4つの基本的視点が提案されました。

●視点1
現下の雇用情勢を踏まえた人材確保・働き方改革等の推進【重点課題】
●視点2
ポスト2025を見据えた地域包括ケアシステムの深化・推進や医療DXを含めた医療機能の分化・強化、連携の推進
●視点3
安心・安全で質の高い医療の推進
●視点4
効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上

4つの視点のなかでも「重点課題」として位置づけられたのが、やはり人材確保・働き方改革等の推進です。

隠れ宿日直”を訴える声が増えている

医師の働き方改革は、医療界だけではなく、世間一般の人からも注目されています。
朝日新聞デジタルでは、9月18日付で「夜間に急患26人、でも『休息』扱い 医師『宿日直』の実態、働き方改革に逆行」という見出しの記事が、さらにその反響が大きかったとして10月12日付で「寝ないまま翌日に手術も 『隠れ宿日直』の実態を訴える声が続々」という記事が公表されています。
記事の内容はというと、9月18日付のものは、宿日直許可を取っている病院に勤務している医師が、ある日の当直で、ひと晩で26人の救急患者を受け入れ、合間を縫って約300人の入院患者を見回り、2人の末期がん患者を看取り、家族への説明もし、仮眠室に入ったのが午前4時前で起きたのが午前7時だったにもかかわらず、病院からは労働時間ではなく休息時間とみなされた、というものでした。
この記事を受けて、同じように“隠れ宿日直”の実態を訴える医療者からの声が多く届いている、というのが10月12日付の記事です。

医師の働き方改革の目的は

ご周知のとおりですが、労働時間とみなさなくてもよい宿日直は、あくまでも軽度または短時間の業務のみで、十分な睡眠が取れる場合です。救急患者への対応は「発生することはあっても、稀」な場合とされています。
ただ、上記にあてはまらない宿日直をすべて労働時間にすれば、働き方改革で定められた上限時間を超えてしまう……というジレンマがあるのだと思います。

ここで、考えなければいけないのは、何のために医師の働き方改革を進めるのかということではないでしょうか。医師の働き方改革は、医師の健康を守ることで医療の質を担保することが目的です。
働き方改革を進めることで、勤務する医師からの不信感が募れば、本末転倒です。

といっても、難しいかじ取りを強いられると思いますが、医師の業務を医師以外の職種に移すタスクシフト、タスクシフトを行うための多職種の採用、そして医師自体の増員も必要になっていくと思います。

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