医師の働き方改革はどうなるのか

2018年6月に「働き方改革関連法」が成立し、企業では働き方改革が着実に進められています。ポイントは、下記の3つです。

 ◎「時間外労働の上限規制」が導入されたこと
  ・月45時間、年360時間が原則
  ・臨時的な特別な事情がある場合も、年720時間、単月100時間未満、複数月平均80時間が限度

 ◎年次有給休暇の確実な取得
  10日以上の年次有給休暇が付与される全労働者に対し、毎年5日、時季を指定して有給休暇を与えること

 ◎正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差を禁止

なかでも、大きな変化が時間外労働の上限規制でしょう。
2019年4月から順次施行されることになっていますが(中小企業は2020年4月から)、医師については、応召義務との兼ね合いや地域医療を守る必要性から、2020年度までに残業規制に関する具体的な内容を決定し、2024年4月から施行される予定です。
そのため、現在、厚生労働省下に設置された有識者会議「医師の働き方改革に関する検討会」で話し合いが進められています。

残業時間の上限は3類型に

現在、検討されているのは、残業時間の上限を、次のように3類型に分けて規制するということ。

 ●一般的な医療機関の勤務医師(達成をめざす水準)
 ●地域医療に従事する医師
 ●技能などを高めたい若手医師ら(対象医療機関を特定し、本人の申し出に基づく)

働き方改革関連法では、残業時間の上限は「年720時間」とされていますが、医師にそのまま適用すると地域医療が崩壊してしまう恐れがあることから、まず「一般的な医療機関の勤務医師」に対しては、過労死の労災が認められる基準である「月80時間」を目安に、年間の上限を定める考えです。
その上で、地域医療に従事する医師に対しては、効率的な医療提供体制が整うまでの経過措置としてもう少し緩い上限を設定し、若手医師らに対しても別途、上限を設定する見込みです。

勤務と勤務の間は最低9時間の休息を

また、
 ・連続勤務時間の制限
 ・勤務間インターバルの確保(勤務と勤務の間を一定時間以上あけること)
 ・代償休暇
を義務づけることも提案されています(一般的な医療機関の勤務医師のみ、雇用主の努力義務)。

連続勤務時間や勤務間インターバルの具体的なあり方については現在検討が進められているところですが、現状では、諸外国の例も参考にしながら、当直がある連続勤務の上限は28時間とすること、9時間を超える連続勤務の間は最低9時間の勤務間インターバルを確保することが提案されています。

検討会のなかでもまだコンセンサスが取れているわけではないようですが、医療界も、働き方改革が待ったなしであることは間違いありません。

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