医療経済実態調査から読み解くクリニックの経営状況

このほど、全国の医療機関の経営状況を調べた「第24回医療経済実態調査(医療機関等調査)報告 令和5年実施」が公表されました。

ここでは、無床クリニックの経営状況をお伝えします。

 

クリニックの平均売上は?

 

入院診療収益のない一般診療所の場合、収益と損益差額(医業・介護収益から医業・介護費用を引いたもの)の2022年度の平均は次の通りでした。

 

  • 医業収益 1億4,669万3千円(前年比4.6%)
  • コロナ関連の補助金を除いた医業収益 1億4,461万円(前年比5.0%)
  • 介護収益 353万8千円(前年比1.1%)
  • 損益差額 2,166万6千円
  • コロナ関連の補助金を除いた損益差額 1,958万3千円

 

収入に対する損益の割合を表す「損益率」は、14.6%です。コロナ関連の補助金を除くと、13.2%でした。

 

医療法人と個人クリニックの違い

 

個人立の無床診療所の場合、医業収益は9,343万9千円、損益差額は3,141万1千円で、損益率は34.0%でした。コロナ関連の補助金を除いても損益率は32.7%です。

 

一方、医療法人立の無床診療所の場合、医業収益は1億6,543万7千円、損益差額は1,784万9千円で、損益率は10.7%です。コロナ関連の補助金を除くと9.2%でした。

 

医療法人と個人の診療所を比べると、個人のほうの損益率の高さが際立ちます。

 

診療科別の平均収益、利益は?

 

次に、診療科別に見てみましょう。

下記は、入院診療収益のない一般診療所を診療科別に比べた結果です。

診療科によっても、損益率は大きく異なることがわかります。

※表をクリックすると拡大表示されます。

(第24回医療経済実態調査(医療機関等調査)報告をもとに作成)

 

 

また、診療科や経営母体にかかわらず、診療所では黒字幅が大きいことも見て取れます。

医療経済実態調査は、診療報酬改定の基礎資料の一つとなる重要なデータです。すでに医療界と財務省で攻防が繰り広げられているようですが、最終的にどのような改定率に落ち着くのでしょうか。

 

 

◎参考

「第24回医療経済実態調査(医療機関等調査)報告 令和5年実施」

https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/database/zenpan/jittaityousa/dl/24_houkoku_iryoukikan.pdf

 

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