医薬品に「費用対効果」という物差し
医薬品や医療機器を対象に、「費用対効果の評価」結果に基づいて薬価などを改定する仕組みが導入されます。
まずは、免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ(一般名:ニボルマブ)」など、試行的実施の対象となっている13品目について、この4月から価格調整を行う予定です。
国民医療費が右肩上がりに増えていることは周知のとおりですが、
その要因は、よく言われる高齢化だけではありません。
医学や医療技術の進歩も、医療費が増えていく主な要因のひとつです。
既存の薬よりも効果が大きな新薬に対して、どれだけのお金を社会は払うのか?
どのくらいであれば、「高額」で、どのくらいであれば「妥当」なのか?
その判断は難しいものです。
そこで、導入されることになったのが、「費用対効果」を評価するという仕組み。
これについては、2012年5月から、中央社会保険医療協議会(中医協)の専門部会(中医協費用対効果評価専門部会)が設置され、議論が繰り広げられてきました。
費用対効果はどうやって測るの?
費用対効果の分析は、「費用」と「効果」を別々に積算し、
「効果がどのくらい増加するのか」に対して「費用がどのくらい増加するのか」を比較する
「増分費用効果比(ICER)」が用いられます。
また、効果のほうは、「質調整生存年(QALY:Quality-adjusted life year)」を基本に、病気や医薬品、医療機器の特性に応じて、そのほかの指標も用いるとのこと。
ちなみに、このQALYとは、「QOLスコア×生存年数」で計算します。
つまり、単純にどのくらい生存年数が延びたのかだけではなく、「どういう健康状態で」を加味するということ。
新たに導入される仕組みなので、試行をすすめるなかで課題も見つかるでしょう。企業からは、「新薬の開発に影響が出る」と反対する意見が挙がっていると報じられています。今後、調整していくのだと思います。
ただ、この「費用対効果」を評価するという考え方自体は、この先、医療全体において少しずつ導入されてくるのではないでしょうか。
たとえば、回復期リハビリテーション病棟では、平成28年度の診療報酬改定からすでにアウトカム評価が導入されています。
財源が限られている以上、より効果の高いものを優先的に評価するという方向性は今後も進むのではないか、と思います。
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