将来的な医師過剰を見越し、医学部定員、医師偏在対策を検討
1月29日に、「医師養成過程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会」の初回会合が開かれました。今後の医学部の入学定員のあり方と、医師の偏在対策について検討していくことが、この検討会の目的です。
このうち、医学部の入学定員のほうは少しずつ減らしていく方向がすでに確認されています。今年の春頃に2026年度の医学部入学定員について結論を出し、その後、将来の医学部定員のあり方と、医師の地域・診療科偏在対策について議論を続け、来年(2025年)夏をめどに中間とりまとめを行う予定です。
医師は過剰になる?
医師の増加ペースについては、これまでの経緯をもとに下記のようなことが共有されました。
・医師数は全国レベルで平成22年から令和2年までの10年間で約4万5千人増加
・中長期的な医療ニーズや医師の働き方改革を織り込んだ医師の需給推計を踏まえると、2029年頃に需給が均衡する
・人口減少に伴い、将来的には医師需要が減少局面に
つまり、現状の医学部入学定員を維持すれば、2029年頃には医師が過剰になってしまうということです。
なお、2020年には18歳人口の約123人に1人が医学部に進学しており、もしも医学部定員が2024年度のままであれば、2050年には18歳人口の約85人に1人が医学部に進学する計算になります。生産年齢人口が減少していくなか、医師だけが増えるというのはあり得ないことでしょう。
現場の医師不足感を改善するには、原因に応じた対策が必要
ただ、その一方で、各病院、各地域では医師不足に悩まれていると思います。
そのため、これまでも医学部に「地域枠・地元枠」を設ける、臨床研修医・専攻医が大都市に集中しないようシーリング(上限)を設ける、各都道府県で医師確保計画を作成する、医師が安心して働き続けられるよう働き方改革を進める――といった対策が実施されてきました。
しかしながら、医師偏在が改善されたとは言えないため、これまでの対策の評価・検証を行うとともに、改めて対策を検討していくことになります。
会合では、「医師不足感の原因は様々であり、単に医師数の増加により改善するものではないことから、原因に応じた対策を推進する必要があるのではないか」と、「医師の地域偏在・診療科偏在」のほか、「提供体制の非効率・医師の散在」「働き方のミスマッチ」などについても必要に応じて検討を実施していく予定です。
◎参考
厚生労働省「第1回医師養成過程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_37576.html
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