新型コロナ感染拡大で病院経営は？ - 株式会社メディカルクレア株式会社メディカルクレア

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で経営が悪化し、岡山県真庭市の整形外科クリニックが7月21日付で自己破産を申請したことが報じられました。この医院では、新型コロナによる外出自粛や受診抑制によって外来患者が減少し、事業の継続が難しくなったそうです。

新型コロナに関連した医療機関の倒産は全国初と言われていますが、新型コロナの影響で経営が悪化しているのは全国どこの医療機関も同様でしょう。

今回は、新型コロナウイルスの感染が拡大するなか、病院経営はどのような状況にあるのか、2つの調査結果をご紹介します。

コロナ患者受け入れるほど、収入減に

前年同月に比べて医業収入は1割減、新型コロナウイルス感染症患者の入院を受け入れている病院はさらに厳しい――。

これは、日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会が合同で行ったアンケート調査からわかったことです。この調査では、3団体に加盟する4,332病院を対象に、新型コロナウイルスの感染拡大による病院経営状況を把握することを目的に、1,307病院から有効回答を得ました（有効回答率30.2％）。

2020年4月の医業収入は、回答した全病院（有効回答1,203病院）の平均で、前年同月に比べて10.5％の減少という結果でした。内訳は、入院診療収入がマイナス9.2％、外来診療収入がマイナス11.1％、そのほかの医業収入がマイナス21.5％でした。

これを、新型コロナウイルス感染症患者の入院を受け入れている病院（339病院）と受け入れていない病院（864病院）で比べると、受け入れ病院の医業収入は前年比マイナス12.4％、受け入れていない病院は前年比マイナス7.7％と、新型コロナ患者の入院を受け入れている病院のほうが経営へのダメージが大きいことがわかります。

また、院内に感染者や濃厚接触者が出るなどして一時的に病棟を閉鎖した病院（180病院）ではさらに厳しく、医業収入は前年同月比マイナス14.3％でした。

なお、2020年4月の医業利益率は、それぞれ次のとおりです。

全病院　マイナス8.6％

新型コロナ患者の入院を受け入れていない病院　マイナス5.5％

新型コロナ患者の入院を受け入れている病院　　マイナス10.8％

一時的に病棟を閉鎖した病院　マイナス14.4％

都内の病院は医業利益率マイナス20％

地域別に見ると、緊急事態宣言時に「特定警戒都道府県」に指定された13都道府県（北海道、茨城、東京、神奈川、埼玉、千葉、石川、岐阜、愛知、京都、大阪、兵庫、福岡）の病院（663病院）では、2020年4月の医業収入が前年同月比マイナス12.7％、医業利益率がマイナス10.7％と、より影響が大きいことがわかりました。

とくに東京都内の病院（88病院）は、医業収入が前年同月比でマイナス20.4％、医業利益率はマイナス22.5％にまで下がっています。さらに都内で新型コロナ患者の入院を受け入れた病院（37病院）、一時的に病棟を閉鎖した病院（19病院）に限ると、前年同月比の医業収入はそれぞれマイナス22.1％とマイナス27.1％、医業利益率はマイナス24.2％とマイナス29.4％という厳しい結果でした。