3人に1人がパワハラ被害――「職場のハラスメントに関する実態調査」

厚生労働省がこのほど「職場のハラスメントに関する実態調査報告書」を発表しました。これは、全国の企業・団体を対象とした「企業調査」(6,426件回収)、インターネットによる「労働者等調査」(一般サンプル8,000名)の結果をまとめたもの。

この結果を見ると、医療・福祉業界では、パワハラ、セクハラ、カスターマーハラスメント(顧客等からの迷惑行為)、就活セクハラ……と、いずれのハラスメントも他業界に比べて多いようです。

 

「医療・福祉」ではハラスメントが多い

 

「パワハラ」「セクハラ」「顧客等からの著しい迷惑行為」を、過去3年の間に勤務先で経験したことがある人は、全職種平均では、パワハラは31.4%、セクハラは10.2%、顧客等からの著しい迷惑行為は15.0%でした。

一方、「医療、福祉」では、下記のように、いずれも平均より多い割合でした。

 

・パワハラ35.5%(うち7.6%は「何度も繰り返し経験」)

・セクハラ11.1%(うち0.8%は「何度も繰り返し経験」)

・顧客等からの著しい迷惑行為18.9%(うち2.9%は「何度も繰り返し経験」)

 

4人に1人が就活セクハラを受けている

 

「職場のハラスメントに関する実態調査」では、就職活動中やインターンシップ参加中のセクハラについても調査しています(対象は2017~2019年度卒業で就職活動やインターンシップを経験した男女1,000名)。

その結果、約4人に1人がセクハラを経験したことがあるという回答でした。

男女別では、じつは女性(25%)よりも男性(26%)のほうがやや多く、セクハラの内容として多かったのが「性的な冗談やからかい」(40.4%)、「食事やデートへの執拗な誘い」(27.5%)、「性的な事実関係に関する質問」(23.6%)などです。

 

そして、セクハラ行為を受けた際の志望先の業種として「サービス業」(18.8%)、「製造業」(12.9%)に次いで多かったのが、「医療、福祉」(12.2%)でした。いわゆる就活セクハラも、医療・福祉業界では多く起こっています。

 

ハラスメントが起こる職場の特徴

 

どういった職場でハラスメントが起こりやすいのでしょうか。

パワハラ、セクハラ、顧客等からの著しい迷惑行為について、ハラスメント未経験者に比べてハラスメント経験者が「職場の特徴として当てはまる」と回答した割合が特に多かった項目は、次のような項目でした。

 

<パワハラ>

・上司と部下のコミュニケーションが少ない/ない

・ハラスメント防止規定が制定されていない

・失敗が許されない/失敗への許容度が低い

・従業員間に冗談、おどかし、からかいが日常的にみられる

 

<セクハラ>

・ハラスメント防止規定が制定されていない

・従業員間の競争が激しい/個人業績との評価の連動が徹底している

・従業員間に冗談、おどかし、からかいが日常的に見られる

 

<顧客等からの著しい迷惑行為>

・失敗が許されない/失敗への許容度が低い

・従業員間の競争が激しい/個人業績との評価の連動が徹底している

・従業員間に冗談、おどかし、からかいが日常的に見られる

 

医療・福祉はハラスメント対策が遅れている

 

「あなたの勤務先はハラスメントについて、予防・解決のための取組を行っていますか」との設問に対して、パワハラ、セクハラ、育休・介休ハラスメント、取引先等の他社の従業員に対する著しい迷惑行為、就活セクハラ――のすべてのハラスメントに対して「取り組みを行っている」との回答が最も少なかった業種が、医療・福祉でした。

逆に、当然の結果ですが、「いずれにも取り組んでいない」という回答が最も多い業種が医療・福祉で、約7割を占めます。

 

今回の結果から、医療・福祉業界では、他業界に比べてまだまだハラスメントに対する意識が低く、取り組みが徹底されていない様子がうかがえました。人材不足に悩まれている組織は多いと思います。こうしたところにも、職場改善にヒントがあるのではないでしょうか。

 

 

 

◎参考

厚生労働省「職場のハラスメントに関する実態調査について」令和2年度調査

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000165756.html

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