AIが早期胃がんを診断

AI(人工知能)が将棋や囲碁でプロに勝ったり、完全自動運転が実用化間近と言われたり、AIは、社会のさまざまなシーンで活用されつつあります。

医療現場でも、その流れは同じです。

 

先日、読売新聞で「判別が難しい早期胃がん、8割以上の割合で判別……AIシステム開発」というニュースが報道されました。

これによると、理化学研究所と国立がん研究センター東病院の研究チームが、内視鏡で撮影した早期胃がんの画像100枚と、正常な胃の画像100枚を細かく裁断するなど加工して、それぞれのがんの有無をAIに学ばせ、学習に使っていない1万枚の胃の画像(このうち5000枚は早期胃がん画像)についてがんの有無を判別させたところ、正診率は87.7%だったそうです。

なお、がんなのに正常と誤ったケースは1割以上あったものの、AIは学習データが増えるほど精度が上がります。そのため、今後、より精度を上げていくことが可能でしょう。

 

AIの診断支援で命が救われたケースも

同じような結果は、他の研究でも出ています。

たとえば、さいたま市のクリニックやがん研究会有明病院などのチームが開発したAIシステムは、2000枚以上の内視鏡画像を1分もかからずに判定し、胃がんの発症の有無の正答率は9割を超えたそうです。

 

また、がん性と良性の皮膚病変の違いを見分けるトレーニングが行われたコンピュータは、皮膚がんの診断において皮膚科医(17カ国の58人の皮膚科医)の精度を上回った――という研究結果も出ています。

 

2016年には、東京大学医科学研究所附属病院で、急性骨髄性白血病と診断されて化学療法を受けていた患者さんが特殊な白血病であることをAIが見抜き、治療法を変更したところ、患者さんが回復したというケースも報じられました。

 

AIと一緒に診療する時代に?

AIの診断力が高まっているとはいえ、最終的な判断を下すのも、それを患者さんに伝えるのも医師の役割であることは変わりません。

ただ、AIを活用することで診断にかかる医師の労力や時間を削減し、診断精度を上げられる可能性はあります。

また、医師が不足しているへき地や、医師一人体制の診療科、クリニックなどでも、AIは心強い味方になるはずです。実際、自治医科大学などが開発している総合診療支援システム「ホワイト・ジャック」など、医療過疎地でAIを活用して医師の診療を支援する研究も行われています。

「医師か、AIか」ではなく、医師がAIと一緒に診療にあたることが当たり前になる時代が近い将来やってくるかもしれません。

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