Googleマップ上の悪意のあるクチコミを書かれたら
患者さんがクリニックを探すときにまず頼りやすいのが、インターネットの検索エンジンです。いわゆる「ググる」ということ。
ところが最近、そのGoogleマップ上のクチコミで事実とは異なるコメントを書かれたり、悪意のあるマイナス評価をされたりして困っているケースは多いです。少し前には、全国の63の医師、医療法人がグーグルを相手に集団訴訟を起こしたことで話題になりました。
身に覚えのない誹謗中傷や悪意のあるコメントを書かれたら、適切な対処が必要です。
まずは「削除要請」を
事実とは異なる誹謗中傷や悪評を書かれたら、まずはグーグル側に削除申請をしましょう。Googleビジネスプロフィールに登録している場合は、その管理画面の「クチコミ」から、該当するコメントを選び、「不適切なコメント」として報告します。もしそれで削除に応じてもらえなくても、「再審査請求」でもう一度、削除をリクエストすることができます。
Googleビジネスプロフィールに登録していない場合は、Googleマップ上から該当コメントについて「レビューを報告」をクリックし、削除要請を行う理由を選択して報告します。
ただ、グーグルのポリシーに違反すると認められれば削除リクエストが通りますが、実際に削除されるケースは少ないようです。とはいえ、特定できる個人を攻撃・中傷する内容などの場合、削除要請に応じてもらえる可能性もありますので、まずは正攻法で削除要請をしましょう。
投稿者に返信する
クチコミを見てクリニックを選ぶ人は、クチコミに対する返信も見ています。患者さんの投稿に対して丁寧に返信をしていれば、「誠実なクリニックなんだな」と印象は良くなります。
事実と異なるコメントに対しては、①評価をしてくれたことへの感謝、②不快な思いをさせてしまったことへの謝罪、③クリニックとして伝えたいこと――を丁寧に書きましょう。「③」は、もしも来院履歴のない人からのコメントであれば、「ご来院いただいた履歴がないため、詳細を教えていただけますでしょうか」などと添えると、事実無根の内容の場合、投稿者側がそっとクチコミを削除するケースもあると聞きます。
大切なことは、投稿者に対する返信であっても、その投稿者以外の多くの人の目に触れるということ。決して攻撃的な書き方にならないようにしましょう。
「削除仮処分の申し立て」「開示請求」を行う
グーグル側に削除要請を行ってもどうしても削除してもらえない場合、裁判所に「削除仮処分命令」を申し立てるという方法もあります。また、事実無根で悪質性の高いクチコミに対しては、「発信者情報開示請求」を行い、投稿者を特定することも一つの方法です。
民事訴訟を起こして削除請求を行うには、時間を要します。そこで、より迅速に進めるために「仮処分」という手続きを活用することが一般的です。
一方、発信者情報開示請求は、まずグーグル側に行い、開示されなければ裁判所に申し立てるという手順になります。
どちらの方法も専門的な知識を要するため、弁護士に相談することをおすすめします。
もしもクチコミが事実であれば……
適切な医療を行ったけれど、患者さんは満足しておらず、その結果、低い評価やマイナスのコメントを書かれてしまった……。そうしたケースはあると思います。
クチコミは利用者側の主観で書かれるものなので、もどかしいケースも多々あると思いますが、もしも書かれていることが事実であれば仕方がありません。クチコミに対して丁寧な返信を行い、改善点をアピールするなどして、誠実に対応するとよいと思います。
悪質な削除業者には気をつけましょう
ところで、事実無根の悪いクチコミを書かれたあと、「悪いクチコミを削除しますよ」とダイレクトメールが届くことも……。なかには、故意に悪いクチコミを書き、「削除できますよ」と営業をかける“削除ビジネス”もあるので注意が必要です。
医師らが集団でグーグルを訴えている「Googleマップクチコミ被害訴訟」で公開されている訴状にも、次のような一文があります。
「そもそもクチコミの削除請求は、投稿者ないしウェブサイト運営者の表現の自由と、削除請求者の人格権等の権利が激しく対立する局面であり、まさに法律事務に当たる行為であるから、弁護士ないし弁護士法人以外が取り扱うことは弁護士法72条違反の犯罪行為である。よって、弁護士ないし弁護士法人以外の削除業者が、適法に削除請求を行うことはそもそも不可能であり、削除業者が削除できているとすればそれは自らが投稿したクチコミに限られるはずである。」
「Googleマップクチコミ被害訴訟」HP(http://g.todasogo.jp/)より
つまり、削除業者の自作自演ということもあるので、くれぐれも気をつけましょう。
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